COLUMNコラム
都市部のスギ花粉症に特徴的な咳
今年もスギ花粉に悩まされる季節になりましたね。
花粉症といえば、鼻汁、鼻閉、くしゃみ、目の掻痒感などの粘膜症状が主ですが、最近は「スギ花粉の季節になると咳も続いて困っています」という方も増えています。
花粉症により鼻汁が下気道に垂れ込み、痰の絡んだ咳が続く後鼻漏という状態になっている方も多いですが、背景に気管支喘息や咳喘息などの素因があり、スギ花粉により増悪して、咳が続いている方もいらっしゃいます。
過去には、スギ花粉の粒子系は約30μmと大きく、末梢気道には到達出来ないため、気管支喘息や咳喘息の増悪には関連しないと考えられていました。
しかし最近では、スギ花粉の表面にはオービクルと呼ばれる1μm以下の微粒子があり、花粉粒から剥離したオービクルを吸入することにより、気管支などの下気道でのアレルギー反応や、気管支喘息や咳喘息の増悪を起こすことが知られています。
神戸市は山間部と都市部が近接していますが、特にこういった地域の都市部ではオービクルを介した、咳などの下気道症状が問題になっています。
都市部では、乾燥した舗装道路などに溜まったスギ花粉が、人や車によって繰り返し踏まれることにより、表面のオービクルが剥離し、大気中に多く飛散しています。
山間部の方が都市部より、花粉粒の飛散量自体は多いのですが、こうした現象により、都市部では山間部よりも多くのオービクルが大気中に飛散しており、咳などの下気道症状に密接に関連しているものと思われます。
このように、特に都市部のスギ花粉症では咳などの下気道症状を有する方が増えており、また一部では気管支喘息や咳喘息の増悪を来している可能性もあります。
スギ花粉の季節に長引く咳でお悩みの方は、一度近くの『呼吸器専門医』に御相談されても良いかもしれません。