COLUMNコラム
重症喘息のタイプ分類と治療薬の進歩
今回は、喘息にも様々なタイプがあるということと、それぞれのタイプに合わせた個別化治療が進歩しているというお話です。
ここ数年での、気管支喘息の病態解明と治療薬の進歩は、目覚ましいものがあります。
特に最近では、一概に気管支喘息と言っても、単一の疾患概念ではなく、様々な病態にタイプ分類が行われています。
以前からも、若年発症のアトピー型、成人発症の好酸球優位型などの、明らかに特徴の異なる疾患タイプや、アスピリン喘息、運動誘発性喘息などの、特殊な疾患タイプが知られていました。
こういったタイプ分類はフェノタイプと呼ばれており、発症年齢や病歴、併存疾患、バイオマーカーなどから、重症喘息のフェノタイプ分類が試みられています。
近年では、末梢血好酸球値、血清IgE値、血清IL-4/L-5/IL-13などのサイトカイン、血清ペリオスチン値、呼気NO値など、様々な結果も含めたクラスター解析により、新たなフェノタイプも提唱されています。
またこれらの分類と同時に、それぞれのタイプに併せた薬剤で治療を行う、タイプ別の個別化治療が進められています。
昨今は新たな喘息治療薬が続々と登場しており、抗IgE抗体、抗IL-5抗体、抗IL-5受容体抗体、抗IL-4/IL-13受容体抗体など、特に生物学的製剤の登場が注目されています。
生物学的製剤は、薬価が高額であることによる患者さんへの負担や、長期使用による安全性の検討など課題が残されていますが、従来の治療ではコントロールが得られない難治性喘息の患者様にとって、重要な治療選択肢のひとつです。
現在の治療で喘息のコントロールが得られず、症状や発作に悩まされている方は、一度お近くの『呼吸器専門医』に御相談いただければ、新しい治療内容を提案させていただけるかもしれません。
おひとりで辛い症状に悩まれずに、御相談だけでも結構ですので、ぜひ一度お気軽にご来院ください。