COLUMNコラム
排気ガスと花粉症
4月に入ってからは暖かい日が増えて、気候は幾分過ごし易くなってきましたが、花粉症をお持ちの方は、まだまだ辛い季節だと思います。
スギ花粉の飛散量はピークを過ぎつつありますが、代わってヒノキ花粉の時期を迎え、なかなか症状がスッキリしない日が続いていますね。
当院は新長田駅から南に徒歩3分、国道2号線近くに位置していますが、交通量も非常に多い場所であり、特に花粉症の季節は、少し窓やドアを開けているだけでも、私も鼻水やくしゃみが出始めることがあります。
排気ガスと花粉症、どちらも鼻水やくしゃみの原因になりそうですが、実はこの二つもお互いに関与し合っているというのが、今日のお話の内容です。
今までの疫学調査によると、スギ花粉の飛散量が同程度の地域内でも、幹線道路付近で交通量の多い場所に住む人の方が、交通量の少ない郊外に住む人より、花粉症を発症する確率が高いことが報告されています。
これらの報告により、排気ガスなどによる大気汚染が、花粉症の発症や増悪に関与していることが示唆されていますが、最近は特にディーゼル排気ガスが、スギ花粉による花粉症症状を増悪させると考えられています。
これはディーゼル排気ガスに含まれる微粒子を吸入すると、通常の数倍のスギ花粉に対する抗体が産生され、花粉症症状を増悪させることが原因とされています。
またスギ花粉のみではなく、その他の花粉に対しても同様の機序が疑われており、まだもう少しの間は、幹線道路の近隣では窓の開閉や空気の流れに注意が必要と思われます。
気管支喘息やCOPDなど、呼吸器の基礎疾患をお持ちの方は、これらの症状に加えて、咳や痰、喘鳴など下気道症状の増悪も心配ですね。
花粉症症状や、咳や痰、喘鳴などの下気道症状でお困りの際は、ぜひ一度お近くの『呼吸器専門医』に御相談下さい。