COLUMNコラム
春眠暁を覚えず
最近は気候も随分と良くなり、「春の陽気でつい日中もウトウトと…」という方はいらっしゃいませんか?
「春眠暁を覚えず」とよく言われますが、その日中の眠気が強くて、日常生活にも支障が出ている場合、実は『睡眠時無呼吸症候群』が背景に隠れている可能性があります。
『睡眠時無呼吸症候群』とは、睡眠中に呼吸が繰り返し止まってしまう疾患です。
多くは、寝ている間に空気の通り道である上気道が閉塞することで起こり、肥満に加えて、顎が小さいことや扁桃肥大などが主な原因とされています。
睡眠中に10秒以上の無呼吸と低呼吸が繰り返され、夜間に何度も目が覚めることによる睡眠の質の低下や、血液中の酸素濃度の低下などを引き起こします。
そのため、夜間のいびきや無呼吸を家族に指摘されたり、日中の強い眠気や倦怠感、熟眠感の欠如、起床時の頭痛などの症状を自覚されることがあります。
また自覚症状がない場合にも、10秒以上の無呼吸と低呼吸が1時間で20回以上出現するような『睡眠時無呼吸症候群』を放置していると、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や、不整脈、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの重篤な疾患を合併する可能性が指摘されています。
特に車両の運転や機械の作業などに関わるお仕事の方は、日中の強い眠気により、居眠り運転や機械の誤った操作などを引き起こし、重大な事故に繋がってしまう可能性も懸念されています。
国内では、治療が必要な重症の『睡眠時無呼吸症候群』の方に限定しても、患者さんの数は約300万人以上と推計されますが、現在治療を受けておられる患者さんは約40万人程度とされており、約90%程の方は無治療のまま放置されているということになります。
『睡眠時無呼吸症候群』の検査は、まず簡易式診断器によるスクリーニングを行いますので、自宅でいつも通りの生活をしていただく中での検査が可能です。
『睡眠時無呼吸症候群』と診断されれば、軽症の方はマウスピースや耳鼻科手術が有効な場合もありますが、中等症以上の方にはCPAP(在宅持続陽圧呼吸療法)が治療の第一選択になります。また、減量、禁煙、就寝前の飲酒を控える、過労の予防などの、生活習慣の改善も重要です。
当院では『呼吸器専門医』が『睡眠時無呼吸症候群』の診断治療に従事していますので、このような症状にお悩みの方は、一度お気軽に御相談頂ければ幸いです。