COLUMNコラム
呼吸器専門医による在宅酸素療法・人工呼吸器のご案内
今日は当院での『呼吸器専門医』による『在宅酸素療法(HOT)』や『在宅人工呼吸器(NPPV)』についてのご案内です。
在宅酸素療法(HOT)は主に、継続的な酸素投与が必要とされる慢性呼吸不全の患者様に、医療機関と同じように自宅でも酸素投与を継続していただくための在宅医療のひとつで、低酸素血症やQOLの改善などを目的としています。
在宅酸素療法(HOT)を必要とする慢性呼吸不全の原因は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺結核後遺症、間質性肺炎、肺癌など様々ですが、現在最も多い原因疾患はCOPDです。
昨今は世の中全体で禁煙の流れが進んでおり、喫煙者は減少傾向にありますが、喫煙による呼吸器への影響は数十年遅れて現れますので、今後も高齢化に伴いCOPDの患者数は増え続けると予測されます。
在宅酸素療法(HOT)を使用される際は、自宅では据え置き型酸素濃縮装置からカニューレなどを通して酸素吸入を行い、外出の際には携帯型酸素ボンベや液体酸素を使用します。
また高二酸化炭素血症を伴う2型呼吸不全の方には、夜間の在宅人工呼吸器(NPPV)を併用することもあります。
酸素濃縮装置の点検や酸素ボンベの補充は、切れてしまうことのないように定期的に業者を通じて行っていただく必要があり、また使用に際しては周囲で火気を取り扱わないなどの注意が必要です(禁煙は絶対条件のひとつです)。
当院では、在宅酸素療法(HOT)や在宅人工呼吸器(NPPV)をご使用の患者様宅に訪問診療を行っており、血中酸素飽和度の測定や、機器がきちんと使用出来ているかを確認の上、『呼吸器専門医』が診察して在宅酸素療法(HOT)や在宅人工呼吸器(NPPV)の管理を行なっております。
また在宅酸素療法(HOT)や在宅人工呼吸器(NPPV)を継続的に使用していただくには、ご本人様の身体面の負担以外にも、ご家族様の介護力の負担や金銭面の負担も大きくなってきます。
それらの対策として、当院では申請基準を満たしている患者様に対して、身体障害者福祉制度における、呼吸機能障害での身体障害認定申請も行なっており、呼吸機能障害の程度に併せて、1級、3級、4級のいずれかの身体障害認定が受けられる可能性があります。
また高額療養費制度や介護保険制度など、様々な社会支援を組み合わせて、在宅酸素療法(HOT)を必要とされる患者様が、少しでもご自宅で長く快適に過ごされますように、またご家族様の負担が少しでも軽減出来ますように、それぞれのご家庭の状況や日々の暮らしの様子も考慮して、療養環境の調整を行なっております。
しかし、神戸市内でも兵庫区以西の地域では、呼吸器内科を専門とした在宅医が不足しており、在宅酸素療法(HOT)を含めた呼吸器疾患に対する専門的な在宅医療が、充分に提供されていないのが現状です。
また昨今では新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大などを受けて、感染により重症化の可能性が高い慢性呼吸器疾患をお持ちの方の、院内感染のリスクや外来通院の負担を軽減させることが、地域医療を担う『呼吸器専門医』として重要な任務であると考えております。
当院の呼吸器内科担当医は、両名共に日本呼吸器学会認定『呼吸器専門医』であり、在宅酸素療法(HOT)を含めた呼吸器疾患の在宅医療を得意としておりますので、現在は外来通院で在宅酸素療法(HOT)を受けておられるものの、外来通院から訪問診療による在宅療養に切り替えたいとお考えの方は、是非一度当院にご相談頂ければ幸いです。
患者様やご家族様から直接ご相談いただく場合は当院受付にお電話を、現在急性期総合病院などに通院または入院されている患者様は、主治医の先生や地域連携室を通じてご連絡をお待ちしております。