COLUMNコラム
梅雨に喘息を増悪させないために
今年も梅雨の時期になりましたが、この季節に気管支喘息や咳喘息を増悪させないために出来ることを、まとめてお話しさせていただきます。
梅雨の時期に喘息増悪の原因になりやすい項目として、①「ダニ・ハウスダスト」②「エアコンのカビ」③「急な寒暖差や梅雨型の気圧配置」などが、主に挙げられます。
①「ダニ・ハウスダスト」は、アレルギー素因を背景にお持ちの喘息の方にとって、通年性の抗原になっていることが多い項目です。一年のうちでも梅雨のジメジメした時期が、最もダニが繁殖しやすい時期と考えられており、ハウスダストにも、このダニの死骸や糞に含まれるタンパク質が多く含まれています。梅雨は特に「ダニ・ハウスダスト」が喘息増悪の原因になりやすい時期ですので、ベッドや布団、カーペット、ソファなどダニの繁殖しやすい場所は、特に意識して定期的な掃除をしたり、日光の当たる場所に干したりしましょう。
②「エアコンのカビ」も、久しぶりにエアコンを使い始めるこの時期に、多く見られる喘息増悪の原因のひとつです。数ヶ月使用していなかったエアコンのフィルターには、梅雨の湿気も相まってカビが増殖しており、クリーニングを行わずに再び使用し始めると、このカビの胞子を部屋中に散布して吸入することになってしまいます。久しぶりにエアコンを使い始める前に、必ずフィルターと内部のクリーニングを行い、最初は窓を開けて室内の空気を外に排出しながら試運転を行いましょう。またエアコンの冷気を直接吸入することで、喘息発作が誘発される場合がありますので、エアコンの冷気が直接体に当たらないように、送風の方向を調整しましょう。
③「急な寒暖差や梅雨型の気圧配置」も、夜間や明け方などに咳や喘鳴(息がゼーゼーヒューヒュー鳴ること)、胸部違和感や呼吸困難感など、喘息の症状を引き起こすかもしれません。こちらに関しては気候を回避することは困難ですので、普段から定期的な吸入ステロイド薬を継続して、気道の慢性炎症をコントロールすることが、喘息を増悪させない最も重要な方法です。咳や喘鳴などの自覚症状が治まっている時も、呼気一酸化窒素(NO)検査などで、定期的に気道の慢性炎症を評価しながら、吸入ステロイド薬を毎日続けるようにしましょう。
これらの予防を積極的に行うことと、吸入ステロイド薬を毎日続けることで、気管支喘息や咳喘息をお持ちの方も、梅雨の時期を少しでも快適に過ごしていただけるのではないかと思います。
気管支喘息や咳喘息による咳や喘鳴、胸部違和感や呼吸困難感などでお困りの方は、一度お近くの日本呼吸器学会『呼吸器専門医』にご相談ください。