COLUMNコラム
学校生活における子供の熱中症対策
毎日まだまだ気温の高い日が続いていますね。
新型コロナウィルス感染予防対策のため、マスクやフェイスシールドの着用で高温多湿環境にも拍車がかかり、換気と言ってもこの気温では、室内でも常に窓を開放してはいられません。
内科の校医を務めている学校の先生方からも、夏休み明けの学校での熱中症対策について気にされている旨のご相談がありました。
今年は新型コロナウィルス流行による休校期間の影響により、夏休みが大幅に短縮された学校が多く、子供達はまだ厳しい暑さが続く中での学校活動再開を余儀なくされています。
大人は日々の生活の中で熱中症に対する予防意識はあると思いますが、大人でさえ気が付きにくい熱中症から、学校生活の中で子供達に上手く予防してもらうには、どう対策すれば良いのか考える機会を頂きました。
近年は全国的に記録的な猛暑日(最高気温が35℃以上の日)や真夏日(最高気温が30℃以上の日)が続き、暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)に比例して、熱中症の搬送患者数も増加傾向にあります。
熱中症の患者数を時期的に分類すると、7月下旬から8月上旬の例年の夏休み期間が最も多いのですが、6月から9月までのそれ程気温の上昇が伴わない季節においても、降雨量が多く湿度の上昇を伴えば発症者が少なくありません。
年齢別に分類すると、子供の熱中症は高校生、次いで中学生に発症が多く、体熱の放散をしにくいという理由において、肥満を有する男児に多い傾向にあります。
競技別では、野球やサッカーなど、屋外のスポーツ活動中に最も多く発症が見られますが、柔道や剣道などの道場や、バスケットボールやバレーボールなどの体育館での発症も少なからず見られており、屋内でのスポーツ活動中においても屋外と同様に注意しておく必要があります。
基本的に猛暑日の屋外での運動は中止して、それ以外の日にも直射日光を避けること、屋内でも体熱を放散しやすい服装で過ごすことなどにも注意が必要です。
子供は大人と比べて、自発的に外気温に合わせた服装の調整やこまめな水分補給を行えないことが多く、また体内の水分含有率が高いため、大人よりも容易に脱水になりやすいと言えます。
特に屋内外での気温差が大きいことから、夏休み明けなど急に屋外で過ごす時間が増えた際にも、発汗や利尿などの体温調節機能がうまく働かないことがあります。
夏休み明けなどは、短時間の負荷の軽い屋内での運動から徐々に慣れていくことや、規則正しい睡眠時間を設けて、朝食を抜かないなど、自律神経機能を整える工夫も必要かもしれません。
大人の熱中症対策にも言えることですが、暑いと感じる前の外気温調節、喉が渇いたと思う前の水分補給など、自覚症状が出る前の早めの予防対策が重要になります。
流動的な新型コロナウィルス感染対策で、学校スケジュールや生活リズムの変調により、子供達の日常生活や体調にも変化が起きやすい時期だと思います。
自分で体調の変化を上手く言いにくそうな子供や、肥満などの熱中症リスク因子を持っていそうな子供に対しては、大人からさりげなく早めの声掛けなどがあると良いのではないかと感じました。